艸木虫魚(薄田泣菫 著 ※/岩波文庫)
雨の言葉(ローゼ・アウスレンダー 著/思潮社)
そのほかに(谷川俊太郎 著/集英社)
※読み:すすきだ きゅうきん
「艸木虫魚(そうもくちゅうぎょ)」は、明治~昭和前期にかけて活躍した詩人・随筆家の作。
「雨の言葉」は、旧オーストリア領、現在のルーマニアに生まれ、戦災を逃れながら言葉を紡いだ詩人の作。
「そのほかに」は、日本における詩の巨人の作。
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艸木虫魚(薄田泣菫 著/岩波文庫)
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題名のうち「艸」の字は「草」の異体字で、読みは文字通り「ソウ(音)・くさ(訓)」。題名の読みは「そうもくちゅうぎょ」となる。著者名の読み方も、初見の人にはやや難しいかもしれない。「すすきだ きゅうきん」と読む。
明治・大正・昭和前期にかけて活躍し、詩作からはじまり象徴派の詩人として名を成し、やがて随筆家となった人物である。その随筆集の文庫版を今回手に取った。
植物や昆虫、小動物など小さい命への優しくも冷静な眼差し、他の作家たちとの笑いあり涙ありの触れ合い、歴史から得られる教訓など、飽きることなく読み通した。
内容は硬軟織り交ぜて様々ではあるものの、ほんのりと笑いに傾いているように感じる。時々声に出して笑ってしまうものもあった。
この本の他に同じ随筆集の「独楽園」と、詩集の「泣菫詩抄」を買い求めた。真髄とすら呼ばれる「完本 茶話(ちゃばなし)」はまだ入手できていないが、良い状態のものを今後も継続して探し、ぜひ手に入れたいと思う。
詩は別の詩人とのアンソロジーで数編ほど読んだことがあるが、格調高い定型詩で、時に漢文調のように見えるものもあり、今から楽しみにしている。今後も継続して読んでいきたい作家。
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雨の言葉(ローゼ・アウスレンダー 著/思潮社)
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自らの母語と、それを使うことに激しい苦悩や葛藤を感じる、というのはどういう感覚なのだろう。自分には分からないが、この女性詩人はそうした感覚から一時期母語を使うことをやめ、英語で作品を書いていたという。
元々はオーストリア領生まれ、のちにルーマニアあるいはドイツの詩人として知られるようになるローゼ・アウスレンダーの作品には、戦争や抑圧への抵抗や、望郷の念のようなものを強く感じる。
ちょうどナチスドイツの時代、詩作どころか生活そのものが破綻し、いつ命を落とすか分からないような世相の中で過ごしたことや、祖国に母親を残し、度々アメリカへ移住したことなどが作品に色濃く反映されているのかもしれない。
心情の発露としてのことばの連なり、というよりも一言ずつ重みのある断片が磁力のような作用で集合して一つの作ができあがっているような、そんな印象を受けた。日本語訳のためにそうした感じを受けるのかもしれない。
彼女は晩年、デュッセルドルフの老人ホームで過ごし、命尽きるまで詩作を続けたという。
日本語訳は、まだこの一冊しか出版されていないのだろうか。残念ながら他の著作を見つけることができなかった。今後また別集が世に出ることを祈る。
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そのほかに(谷川俊太郎 著/集英社)
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実家の本棚から持ってきた一冊。昔、一度か二度読んだ記憶があるが今回改めて読むことにした。
読むたびに様々な表情を見せる著者の作品は、自分にとっては何度でも帰っていける、ことばの上での保養地のようなものだ。
単に読み応えがあるというだけではなく、その時々で感じ取るイメージや気づきに変化が生まれる。いつ読んでもしっかり固まった印象や感想を得られる詩は優れた作品だと思うが、著者の作は読むごとに大抵どれも様々に色を変えていくような印象がある。
単に読み手である自分のせいかもしれないが、こうしたことば選びはセンスというより練磨の賜物なのだろう。漠然とそんな風に感じる。ごく個人的な、そして勝手な印象として、著者の作を読む時にはそうした楽しみがある。
これからも、この著者の未見の作を探して行くことになるが、時にはこうして過去に読んだ作品に立ち返る時間も大切にしたい。
いずれも大変読みごたえのある良書です。ありがとうございました。![]()


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