📚令和7年(2025)今年に入って読んだ本 3

読書

📙銀の匙(中勘助/岩波文庫)

📘ヘッセ 人生の言葉 エッセンシャル版(ヘルマン・ヘッセ 著/白取春彦 訳/ディスカヴァークラシック)

前者は忘れていた記憶を呼び起こし、後者は強く励まされる言葉の精選。いずれも良書でした☺️

ありがとうございます。

📙銀の匙(中勘助/岩波文庫)

皆さんは、ご自身の「伯母さんとの思い出」というのをお持ちだろうか。自分にはほぼ馴染みがない。だが、本作を読み進めるうちに自分の幼少期、そして当時の祖母や母についての記憶が甦り一気に終わりまで読み終えた。

中勘助の「銀の匙」には、病弱な体質で生まれた著者の幼少期と、彼の実質的な育ての親である伯母との記憶、周囲の人々との邂逅などが丁寧に描かれている。

幼少時の記憶を丹念にたどり、素朴で飾らず綴られるのかと思いきや、心象やその他の重要な場面の描写では突如として格調高い鮮やかな表現が次々に現れるなどし、それでいて流れを妨げることもなく引き込まれる文章だった。後になって調べてみると、元々夏目漱石の教え子(?)らしく、本作によって漱石からの激賞を受けたという。

ただ、中勘助は作家として名を成した後、文壇との交わりをあまり持とうとしなかったようだ。あちこちを流離うように転居を重ねながら名作を生みだす一方、実生活では後年立て続けに肉親や知己を亡くしていくなど深い哀しみを味わった。

抑制的な中にも、時に色の鮮やかさまでもがありありと伺えるような文体は、著者本人の生い立ちや身体に抱える持病などが影響しているのだろうか。

全集に手を出したくなる作家に、また出会うことになった。

📘ヘッセ 人生の言葉 エッセンシャル版(ヘルマン・ヘッセ 著/白取春彦 訳/ディスカヴァークラシック)

言わずと知れた巨人、ヘルマン・ヘッセの発表した小説やエッセイといった作品群から、特に含蓄のある表現や胸の奥にずしりと響く文章を精選しまとめたもの。

これまで、この Facebook 上で度々ヘッセの著作に触れてきたが、確かそのどれもが草思社がまとめたエッセイだったと思う。その中で出くわした表現に今回改めていくつかお目にかかることになった。

じっくりと作品群を読んでいる暇がないという人が手に取るのに良い本のように思われる。また、かつて何かの作品を読んだことがあるという人にとっても、読書体験を思い出すきっかけになり良いかもしれない。

文学の大家がその激しい人生の中で残した言葉を良薬のように傍らに置き、折に触れてページを繰ることができるというのは本当にありがたい贅沢だと思う。

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